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糖尿病の人はお酒を飲んではいけないのか?

糖尿病の人はお酒を飲んではいけないのか?

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薬剤師である私は、患者さんから「糖尿病だからお酒は飲んだらダメですよね?」という質問をよく受けます。

そんなとき私は、「お酒の種類を選べば飲んでも大丈夫です」「それだけではなく、お酒の種類によっては、血糖値を下げてくれます」と答えます。

ほとんどの患者さんが、その答えを聞いてびっくりします。なぜなら、食事療法でカロリー制限を行っている患者さんは、栄養士から「お酒はカロリーが高いので控えてください」と指示されているからです。

しかし、実際には糖尿病の人でも、お酒の種類に気をつけさえすれば、お酒を飲むことができるのです。

では、その根拠を順番に説明していきます。

血糖値を上げるのは糖質だけ

血糖値とは何か」について簡単に説明します。

血糖値とは、「血液中のブドウ糖の濃度(濃さ)」のことです。

そして、血糖値が上がる仕組みは単純です。人間は、「消化されてブドウ糖になる食品」を摂取すると、血糖値が上がるのです。

それではどのような食品が、血糖値を上げる原因となるのでしょうか? その前に少しだけ、栄養のお話をします。

私たちが食物から摂取してエネルギーとして利用する栄養素には「炭水化物」「脂質」「タンパク質」があります。

炭水化物には、米、パン、麺類などの主食や芋類、砂糖などの甘いものがあります。脂質は脂肪や油です。そして、タンパク質は、お肉、魚、卵、大豆製品などです。

最初に挙げた「炭水化物」は、さらに「糖質」と「食物繊維」に分けられます。お気づきかもしれませんが、この「糖質」こそが「ブドウ糖」の正体です。「食物繊維」は消化されてもブドウ糖にはなりません。

そのため、人間が摂取する栄養素の中でブドウ糖になるのは、「炭水化物」に含まれている「糖質」だけなのです。他の栄養素はどれだけ食べても血糖値を上げないことがわかっています。では、アルコールを飲むと血糖値は上がるのでしょうか?

アルコール自体は血糖値を上げない

お酒に含まれているアルコールの正体は、「エタノール」という化学物質です。実は、エタノール自体に血糖値を上げる働きはありません。

つまり、アルコール自体は、いくら摂取しても血糖値を上げないのです。

詳しく見ていきましょう。前述したとおり、血糖値を上げるのは「消化されてブドウ糖になる食品」だけです。一方エタノールは、水と炭酸ガスに分解されます。

これをみていただければ分かるように、エタノールは消化されてもブドウ糖にはなりません。そのため血糖値を上げることはないのです。

むしろ驚くべきことに、アルコールを飲むと血糖値は下がるのです。実際にアルコールを飲む前と飲んだ後で、患者さんに血糖値を測ってもらうと、血糖値が下がっていることがあります。

アルコールが血糖値を下げることを証明した研究結果

では、科学的に「アルコールが血糖値を下げる」という研究データはあるのでしょうか?

2007年に発表されたアメリカの一流医学雑誌『Diabetes Care』 に、「夜にワインを飲むと、翌朝に血糖値が下がった」というデータが掲載されています。この研究では、夜にワインを150mL飲んだ人と飲まなかった人で、翌朝の血糖値を比較しています。

その結果、ワインを飲んだ人は、通常139.6mg/dLだった血糖値が118mg/dLに下がっていました。一方、ワインを飲まなかった人の場合は、通常136.7mg/dLだった血糖値が138.6mg/dLに上昇していました。

このデータは「アルコールの摂取により、血糖値が下がること」を証明しています。

アルコールが血糖値を下げる仕組み

なぜ、アルコールを飲むことで血糖値が下がったのでしょうか? その仕組みを説明していきます。

アルコールは肝臓で分解されます。肝臓には、アルコールを分解する役割があることは一般的に知られていると思います。しかし、実は他にも役割があるのです。

それが「ブドウ糖を作り出す役割」です。

通常血糖値が下がってくると、人間の体は血糖値が下がりすぎないように、肝臓でブドウ糖を作り出します。これは、血糖値が下がりすぎると危険だからです。

この仕組みのことを、難しい言葉で「糖新生」といいます。

「糖新生」とは、「体に蓄えてあるブドウ糖以外の栄養素を使い、肝臓でブドウ糖を作り出す仕組み」のことです。

アルコールを飲むと、肝臓がアルコールの分解に忙しくて、この「糖新生」をしている暇がないのです。

そのため、本来、糖新生で作り出されるはずのブドウ糖が少なくなり、アルコールを飲むと血糖値が下がるのです。

血糖値を上げるお酒、上げないお酒がある

このように、純粋にアルコール(エタノール)だけであれば、飲んでも血糖値は上がりません。だからといって、「どんなお酒でも血糖値を上げない」というわけではありません。なぜなら、お酒の中には糖質が含まれるものがあるためです。

糖質を含んだお酒を飲めば、もちろん血糖値は上昇します。

そのため血糖値に気をつけたい人は、糖質を含まないお酒を選んでいく必要があります。

「糖質を含むお酒」「糖質を含まないお酒」にはどのような種類があるのか、具体的に見ていきましょう。

糖質を含まないお酒

糖質を含んでおらず血糖値に影響のないお酒は、一般に「蒸留酒」と言われている種類です。これらはほとんど、糖質を含んでいません。

以下に、100gあたりに含まれる糖質の量をあげます。

焼酎甲類    0g
焼酎乙類    0g
ウイスキー    0g
ブランデー    0g
 ウオツカ    0g
 ジン  0.1g
 ラム  0.1g
 白ワイン  2.0g
 赤ワイン  1.5g
 糖質0の発泡酒    0g

ワイン以外はほとんど糖質0gですので、飲んでもまったく問題ありません。

また、ワインの中でも辛口のワインを選べば、糖質は少量です。そのため、量にさえ気をつければ飲んでも大丈夫です。

糖質を含むお酒

一方で、糖質を多く含むため「飲んではいけないお酒」があります。例えば、醸造酒と呼ばれるものや、甘いお酒があります。

以下に、100gあたりに含まれる糖質の量をあげます。

日本酒  4.5g
ビール  3.1g
発泡酒  3.6g
ロゼワイン  4.0g
紹興酒  5.1g
梅酒 20.1g
みりん 43.2g
甘酒 17.9g

参照:『新しい「日本食品標準成分表2010」による食品成分表』(女子栄養大学出版部)

 

このように、日本酒、ビール、発泡酒など、日頃私たちがよく飲んでいるお酒の中に、糖質が多く含まれていることがわかります。

また、一見体に良さそうに思われる梅酒も、非常に多くの糖質が含まれているため注意が必要です。ワインも、種類によっては糖質が比較的多いものがあるので、きちんと調べてから飲みましょう。

飲酒時の食べ過ぎに注意

「蒸留酒などの血糖値が上がらないお酒を飲めば、飲酒しても問題ない」ということはわかっていただけたと思います。しかし、ここで注意していただきたいことがあります。

それは、「飲酒時に食べ過ぎない」ということです。

アルコールには食欲を増す作用があるので、お酒を飲むことで食事の量が増えてしまうことがあります。アルコールの中に糖質が含まれていなくても、糖質を多く含む食べ物をたくさん食べてしまっては、意味がありません。

例えば、「飲んだ後にラーメンを食べたくなる」という人は多いですが、せっかく「糖質の少ないお酒」を選んで飲んだのなら、ラーメンを食べるのは避けましょう。

メトホルミンという薬を飲んでいる人は飲酒に注意!

ここまで、「お酒の種類に気を付ければ、お酒を飲んでも大丈夫です」と書いてきました。しかし、1点だけ絶対に気を付けていただきたいことがあります。

それは「糖尿病の薬の副作用」です。

メトホルミン(薬剤名:メトグルコ、グリコラン)という薬の副作用に、「乳酸アシドーシス」という症状があります。「乳酸アシドーシス」は血液中に「乳酸」という物質が過剰に増え、血液が酸性になってしまう症状です。もう少しわかりやすく説明します。

通常、人間の血液は弱アルカリ性に保たれています。人間の体は繊細なので、血液が弱アルカリ性に保たれていなくては、様々な不調が起きてしまうのです。

「乳酸アシドーシス」になると、酸性の物質である「乳酸」が血液内に溜まってしまいます。つまり、血液が酸性に傾いてしまうのです。

このようなことが起きる原因は、メトホルミンとアルコールの両方が、前述した「糖新生」という、肝臓がブドウ糖を作り出す仕組みを邪魔してしまうからです。具体的には「乳酸」から「ブドウ糖」を合成する過程を阻害します。そのため、材料である「乳酸」が使用されずに溜まってしまうのです。

具体的な症状は、まず強い倦怠感、悪心、嘔吐、下痢、筋肉痛などが現れます。さらに重症化すると、昏睡に陥ります。昏睡をきたすと死亡率が50%という非常に怖い副作用です。

この副作用が出る頻度は高くはありませんが、「過度な飲酒」には十分に注意しなければなりません。しかし、メトホルミンを服用していても、「適度な量のお酒」であれば飲むことができます。

それでは「適度な量のお酒」とはどのくらいの量なのでしょうか?

アルコールを分解する能力は、人それぞれ異なります。そのため、一概に言うことはできません。しかし目安としては、以下の2点を挙げることができます。

1つ目の目安は、「1日の飲酒量がビール大瓶2本または日本酒2合未満」です。

この根拠は、メトホルミンの開発試験が行われたときに、「1日平均の飲酒量がビール大瓶2本以上、または日本酒2合以上」の患者が除外されたことと関係があります。

試験の結果、「ビール大瓶2本、日本酒2合未満」の量を飲んでいた患者では、乳酸アシドーシスの副作用は起こりませんでした。

2つ目の目安は、「飲酒後に頭痛を生じない程度の飲酒の量」です。

これは、「飲酒後に頭痛を生じてしまう量」のアルコールを摂取した場合、体の中でアルコールを十分に分解できていない可能性が高いからです。そのため、乳酸アシドーシスを起こしてしまうリスクも高まります。

以上のように糖尿病の人でも、服用している薬に気を付け、「糖質の少ないお酒」を選べば飲酒することができます。

しかし、過度の飲酒は体に悪いためもちろん避けてください。

糖尿病の人は、ただでさえ薬物治療や食事療法、運動療法などでストレスが多いです。「お酒を飲めないストレス」をなくすことで、糖尿病の治療を無理なく続けていくことを容易にしていきましょう。

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