あなたは、糖質制限の理論を理解し、「自分もやってみようと!」と考えているかもしれません。
では、どのような食事を具体的に取ればいいのでしょうか?
また、逆にどのような食事は取ってはいけないのでしょうか?
「糖質を取ってはいけない」と言われても、具体的な食事が何かわからない人が多いはずです。
今回は、「どのような食品が良くて、どのような食品を食べてはいけないのか?」、具体的に説明します。
あなたは、自分で食べて良いものと悪いものを判断できるようになるでしょう。
【原則は糖質を控えることです】
まずは、「糖質制限の理論」について確認しましょう。
栄養素の中で、エネルギーとして人間が使用できるものは「炭水化物」、「脂質」、「タンパク質」の3つだけです。
「血糖値」とは「血液中のブドウ糖の濃度(濃さ)」のことです。
そのため、消化されてブドウ糖になる栄養素だけが血糖値を上げます。
「炭水化物」は「糖質」と「食物繊維」に分けられます。
「糖質」だけが最終的に消化されブドウ糖になります。「食物繊維」は消化されません。
「脂質」は消化され脂肪酸になります。ブドウ糖にはならないので血糖値を上げません。
「タンパク質」は消化されアミノ酸になります。ブドウ糖にならないので、血糖値を上げません。
まとめると「糖質のみが血糖値を上げます」
【まずは、どの食材に糖質が多いのか・少ないのか? を知ることが大切】
料理や食品をみて、そのなかの糖質が多いのか・少ないのか? を判断することは困難です。
そのようなときでも、おおまかに「糖質の多い食材」と「少ない食材」を覚えておくと、どのような食事をすればいいのか判断できるようになります。
それでは、糖質の多い食材、少ない食材について説明していきます。
【糖質の多い食材】
主な糖質の多い食材には以下のものがあります。
これらは、できる限り避けるべき食材になります。
穀類、いも類、根菜類、果実類、甘味料
順番にみていきましょう。
【穀類】
穀類の仲間には、ごはん(米)、お餅、パン、麺類(ラーメン、そば、うどん、パスタ)、コーンフレークなどがあります。
米、小麦、そば、トウモロコシなどから作られたものです。そのため、米粉、小麦粉、パン粉なども食べてはいけない食材です。
甘みはほとんど感じませんが、かなり多くの糖質を含んでいます。
食材100g中の糖質量をまとめてみました。
ごはん(精白米) 36.8g
もち 49.5g
赤飯 40.7g
食パン 44.4g
コッペパン 47.1g
フランスパン 54.8g
ロールパン 46.6g
ナン 45.6g
うどん 20.8g
そば 24.0g
そうめん 24.9g
中華麺 27.9g
沖縄そば 26.5g
スパゲッティ 69.5g
薄力粉 73.4g
パン粉 59.4g
そば粉 65.3g
餃子の皮 54.8g
ピザクラスト 48.8g
コーンフレーク 81.2g
ここで、注意してほしい点は、一見、健康的だとイメージ付けられている、「コーンフレーク」の糖質が際立って高いことです。さまざまビタミン・ミネラルを含んでいて健康的だと宣伝されていますが、糖質をたくさん含んでいるので注意が必要です。
また、患者さんから「うどんと、そばならどちらがいいですか?」と質問されます。糖質はほとんど変わりませんので、どちらも避けた方がよい食材です。
【いも類・根菜類】
一見、野菜なので食べてもいいように思われますが、避けたい食材です。また、いも類を原料につくられている粉類にも注意が必要です。
サツマイモ 29.2g
ジャガイモ 16.3g
フライドポテト 29.3g
ながいも 24.6g
片栗粉(ジャガイモでん粉) 81.6g
タピオカ(キャッサバでん粉) 85.3g
くず粉(くずでん粉) 85.6g
コーンスターチ(トウモロコシでん粉) 86.3g
くわい 24.1g
にんにく 20.6g
ゆりね 22.9g
れんこん 13.5g
【果実類】
果実類も一見、健康に良いと思われていますが、糖質の多い避けるべきものが多数あります。
果実類の中には単糖の「果糖」が多く含まれています。果糖は体内ですぐに脂肪に変わるため、太りやすい糖類です。
いちご 7.1g
いよかん 10.7g
みかん 11.0g
かき 14.3g
キウイフルーツ 11.0g
グレープフルーツ 9.0g
さくらんぼ 14.0g
すいか 9.2g
プルーン(乾燥) 55.2g
ドリアン 25.0g
なし 10.4g
パインアップル 11.9g
パッションフルーツ 16.2g
バナナ 21.4g
ぶどう 15.2g
干しぶどう 76.6g
ブルーベリー 9.6g
マンゴー 15.6g
メロン 9.8g
もも 8.9g
りんご 13.1g
生でも糖質がかなり含まれていますが、注意すべき点は乾燥させてドライフルーツになると非常に高い値になることです。
ここまで、糖質の多い食材をみてきました。糖質制限では糖質の多い食材を避けて、代わりに糖質の低い食材をたくさん食べていきます。
次に、糖質の少ない食材についてみていきます。
【糖質の少ない食材】
おおまかに、糖質の少ない食材についてあげると以下のようなものがあります。
肉類、魚介類、大豆製品(豆腐・納豆など)、卵、チーズ、野菜菜、きのこ類、海藻類
順番に説明していきます。
【肉類】
牛・豚・鶏(生・未加工) 0.1~0.7g
ローストビーフ 0.9g
コーンビーフ(缶詰) 1.7g
ビーフジャーキー 6.4g
ロースハム 1.3g
生ハム(促成) 0.5g
生ハム(長期熟成) 0g
ベーコン 0.3g
ウインナー 3.0g
生ソーセージ 0.8g
前述した糖質の多い食材に比べると桁が違うことがはっきりわかります。
【魚介類】
魚類(生・未加工) 0.1~0.7g
たらこ 0.4g
あさり 0.4g
かき 4.7g
しじみ 4.3g
ほたて 1.5g
あまえび 1.6g
するめ 0.4g
たこ 0.1g
生うに 3.3g
はんぺん 11.4g
さつま揚げ 13.9g
魚肉ソーセージ 12.6g
ここでも、注意していただきたいのはDHAなどが入って健康的だと宣伝されている魚肉ソーセージの糖類が多いことです。注意してください。
【大豆製品】
糖質制限で主食の代替品になるのが、大豆製品です。ぜひ活用しましょう。
木綿豆腐 1.2g
絹ごし豆腐 1.7g
焼き豆腐 0.5g
生揚げ 0.2g
油揚げ 1.4g
がんもどき 0.2g
納豆 5.4g
豆乳 2.9g
調整豆乳 4.5g
【卵・乳製品】
生卵 0.3g
ゆで卵 0.3g
牛乳 4.8g
低脂肪乳 5.5g
プレーンヨーグルト 4.9g
カマンベールチーズ 1.9g
クリームチーズ 2.3g
プロセスチーズ 1.3g
バター 0.2g
【野菜菜・きのこ類】
キャベツ 3.4g
きゅうり 1.9g
だいこん 2.7g
トマト 3.7g
なす 2.9g
白菜 1.9g
ブロッコリー 0.8g
ほうれん草 0.3g
だいずもやし 0g
レタス 1.7g
サラダ菜 0.4g
えのき 3.7g
しいたけ(生) 1.4g
しめじ 1.1g
なめこ 0.7g
エリンギ 3.1g
【海藻類】
海藻類には糖質0のものが存在します。上手に食事に取り入れましょう。
ところてん 0g
角寒天 0g
もずく 0g
わかめ(生) 2.0g
参考文献:『新しい「日本食品標準成分表2010」による食品成分表』(女子栄養大学出版部)香川芳子監修
【注意すべき食材】
ここで、糖質の少ないカテゴリーの食材なのに、糖質の多い食材についてまとめてみました。注意しましょう。
まず、芋類以外の野菜で注意すべきは、
カボチャ 17.1g
レンコン 13.5g
食べる量注意しましょう。
【糖質制限の2つのポイント】
以上をまとめると、糖質制限の基本は次の2点になります。
1点目のポイントは、主食や甘いものや果物を減らすことです。
特に穀類の糖質は多いので、主食を減らすことが非常に有効です。
2点目のポイントは、主食を抜いてお腹が空いたときに、糖質の少ない食材を食べることです。
肉、魚介類、野菜、きのこ、大豆製品、卵、チーズなどを食べましょう。
思った以上に食べられるものが多いと感じたはずです。
カロリーを気にせずにこれらをたくさん食べられますので、糖質制限は比較的に継続することが可能な食事療法です。