健康診断で血糖値が高めだった方の中には、「どのようなサプリメントを飲めば血糖値が下がるのか?」悩んでいる方も多いかと思います。食事に注意して運動をすれば血糖値が下がることはわかっていても、実践するのは難しいものです。ましては、働き盛りの30代40代は、仕事のつき合いの飲み会もありますし、運動をする時間がない方も多いです。
他に病気を持っていない30代40代で運動もできず、食事を制限することも難しい方には、「糖質の吸収を穏やかにするサプリメント」をおすすめします。なぜ糖質の吸収を穏やかにするサプリメントをおすすめするのか?その理由についてこのページでは説明していきます。
血糖値を下げるサプリメントには2タイプあります
本題に入る前に、血糖値を下げるサプリメントにはどのようなものがあるのか、説明いたします。
市場にはたくさんのサプリメントが発売されています。しかし、大きく分けると糖質の吸収を穏やかにするものと、糖質の体内での燃焼を促進するものの2つのタイプに分けられます。
糖質の吸収を穏やかにするサプリメントは、サラシナや食物繊維があります。サラシナは腸内で糖質が分解されるのを阻止します。そのため、体は、糖質の塊を腸から吸収することのできる大きさにまで小さくすることができません。その結果、腸から血液の中に糖質を吸収するのを穏やかにしてくれます。
食物繊維は、腸の壁から糖質が吸収されるのをブロックすることで、吸収される速度を遅くしてくれます。
一方、糖質の燃焼を促す系のサプリメントにはALA(5-アミノレブリン酸リン酸塩)というアミノ酸があります。細胞内に吸収された糖質を燃焼させてエネルギーに変えるのを促します。
糖質の吸収を穏やかにするサプリメントを勧める2つ理由
理由①:すい臓の疲弊を改善することができるから
30代40代の糖尿病予備軍の方は、まだすい臓のインスリンを分泌する機能がそれほど失われていません。どういうことかというと、日本人が糖尿病を発症する主な原因は、高い血糖値を下げようとしてすい臓が頑張りすぎた結果、すい臓が疲れきってしまい、インスリンという血糖値を下げるホルモンを出せなくなってしまうことです。
血糖値が高い状態のまま、年齢を重ねていくと徐々にすい臓が疲弊していき、ある日突然、糖尿病と診断されます。一度糖尿病になってしまうと治すことはできません。
しかし、空腹時血糖値が110~125mg/dLの糖尿病予備軍の方は、すい臓にかかる負担を減らせばすい臓のインスリン分泌機能を正常に戻すことができます。なぜ糖質な吸収を穏やかにすると、すい臓の疲弊を改善することができるのでしょうか?
食事をして血液の中の糖質が増えると、すい臓からインスリンという血糖値を下げるホルモンが分泌されます。健康な人の体では、この機能がスムーズに働くため、食後でも血糖値が200mg/dLを超えないようになっています。
通常食事をすると、30分後に血糖値は最高値になり、そこからインスリンの働きによって、徐々に下がってき120分後には元の血糖値に戻ります。しかし、高血糖の状態が続いていたためにすい臓が疲弊してしまっている人では、インスリンの分泌が遅れてしまうために血糖値の上昇を抑えることができず、200mg/dLを超えてしまいます。
高血糖状態になってしまうと、すい臓はどんどんインスリンを出そうとして頑張ってしまい、その結果、疲弊していってしまいます。すい臓が疲れ切ってしまうと、インスリンをほとんど出さなくなってしまうのです。
たとえて言うならば、食後の血糖値の上昇のスピードが速い場合、すい臓は100m 走のように全力でインスリンを出し続けなければいけません。そのためすぐに疲弊してしまいます。一方、糖質の吸収を抑制するサプリメントを摂取しておけば、食後の血糖値の上がるスピードが緩やかになるため、すい臓は軽いジョギング程度の頑張りで、インスリンを出せば大丈夫なことになります。そのため疲弊しません。
このようにサプリメントを摂ることで、すい臓の負担を減らしてあげれば、多少お疲れていたすい臓も徐々に回復していきます。つまり、まだすい臓の機能が、完全に疲弊していない30代40代の糖尿病予備軍の方は、糖質の吸収を穏やかにするサプリを摂取してすい臓を休ませることで、健康な体に戻ることが可能です。
理由②:糖質の燃焼を促す系のサプリでは太ってしまう
2つ目の理由は、糖質の燃焼を促す系のサプリでは食事制限や運動のできない方には不適切だからです。
どういうことかというと、飲み会などの食事の多い、30代40代の方は糖質の吸収を穏やかにしてくれるタイプでないと、血液の中に糖質が吸収されてしまいます。そのため、燃焼を促す系のサプリを服用すると血液から細胞の中へ糖質は吸収されます。少なからず運動をする習慣がある方であれば、細胞の中に吸収された糖質は、サプリの作用によって、燃焼させることができるのですが、運動ができない人の場合、細胞内に取り込まれた糖質は脂肪へと変えられて蓄積されてしまいます。その結果、太ってしまいます。
太って脂肪細胞が増えてしまうと、同じインスリンの量が分泌されても効き目が悪くなっていき、ますます高血糖となっていく悪循環に陥ってしまいます。
このように、本来細胞内に糖質を吸収させ燃焼させていくのが目的の燃焼系のサプリメントも、適していない人が使ってしまうと症状を悪化させてしまいます。食事の量が多く、運動ができない方には糖質の吸収を穏やかにする系のサプリをおすすめします。
糖尿病予備軍になったら、今すぐサプリを飲み始めてください
私は薬局で働いていて、患者さんから「糖尿病ではないので、まだサプリメントを飲み始めなくてもいいよね?」と質問されます。そのような時、私は「今すぐ飲み始めましょう」とお答えしています。なぜならば理由が2つあります。
理由①:いったん糖尿病になると治らないから
先程も述べましたが、糖尿病はいったんなってしまうと治すことができない病気です。そのため血糖値が、糖尿病の基準値を超える前に対策をしなければいけません。糖尿病の基準値は空腹時血糖値で126mg/dL、HbA1cで6.5%です。
糖尿病の基準値を超えてしまうほど症状が進行してしまうと、すい臓はすでに疲弊してしまっています。
私の薬局の患者さんでも、健康診断で糖尿病予備軍だった方が、糖質の吸収を穏やかにする系のサプリメントで、正常値に戻すことができた方がいらっしゃいます。この方も営業職で、運動する時間もなく、接待でお酒を飲む機会の多い方でした。
理由②:過去に高血糖の時期があると糖尿病の合併症を発症する可能性があることがわかっているから
2つ目の理由は、10年前に血糖値が高かった時期のあった人は、その後血糖値を基準値内にコントロールできていたとしても、糖尿病の合併症を発症してしまう可能性があることが大規模臨床試験でわかっているからです。
糖尿病自体は、何にも自覚症状のない病気です。しかし糖尿病の怖い理由は、網膜症、腎症、末梢神経障害、心筋梗塞、脳卒中などの合併症を引き起こすことです。
アメリカで1983年から2013年まで30年間にわたって行われた大規模な臨床試験があります。その研究結果から、血糖値の高い時期があると、何十年経ってから合併症が進行してくることがわかったのです。その原因は血糖値が高い時期に体内でできてしまうAGE(終末糖化産物)という糖分がタンパク質とくっついてできる物質です。
AGEは一度できるとなくなりません。AGEが糖尿病の合併症の原因であることが最近わかってきています。つまり何十年も前に、血糖値の高い時期があるとAGEができてしまい、その後一生懸命血糖値をコントロールしても、何十年も経った後、糖尿病の合併症を発症してしまいます。
このような理由から、血糖値が高めになってきたら、基準値を超える前にサプリメントで血糖値のコントロールを始める事が非常に大切です。
以上のように、仕事が忙しく、食事制限や運動などをやらなくてはいけないのはわかっていてもできない30代40代の方には、糖質の吸収を穏やかにするサプリメントを今すぐ飲み始めることをおすすめします。